笑う男

笑う男みてきました


感想です


ネタバレ注意です




◇ストーリー◇
→またアンハッピーエンドですかビクトルユゴーさんと思いました
最後デアの方ばっかりみてウルシュスに一瞥もしないグウィンブレンには苛々しました
抱きしめてやれやウルシュスを! 
優しい言葉かけてやれやウルシュスに!って思いました
主人公のグウィンプレンのことがいまいち好きになれなくて辛かったです
けどもこの最後の場面でグウィンプレンがウルシュスを見向きもしないことが
グウィンブレンを表現する上でとても大切なことなのだろうとは思うのです
このときのグウィンブレンの心情について考えるだけで2時間経過します
(事実、劇場からの帰り道ずっとそのこと考えていました)
このスルメ凄く味がして美味しいぞって思います
気になった点はもうちょっとフェドロまわりの描写詳しくやって欲しかったなって
ところでしょうか
まあ私が石川さんフェドロが凄く好きでいっぱいみたかっただけだろと言われたら
それまでですが

◇キャスト◇
浦井健治asグウィンプレン
浦井さんは役をそつなくこなしていた印象を受けました
ウィンプレンというキャラについては、そうですね
見世物小屋で見世物にされたことを、裂けた口を醜いと笑いものにされたことを
洗脳のようにこの世は厳しく世知辛いのだと言い聞かせられたことを
やっぱりグウィンプレンは快く思っていなかったのでしょうか
デアを彼は本当に愛していたのでしょうか
このお話は、もっと上の幸せがこの世にはあり、
まさかこれが上限のわけないと思っていたのに
結局はこれが自分の得られる幸せの上限らしいと思い知り、
「身の丈を知って」絶望した悲しい人間のお話なのでしょうか
気になりました
ここら辺のことに思いを巡らせると本当しょんぼり陰鬱な気持ちになってきます
だって、青年となったグウィンプレンがウルシュスを「父さん」と呼び、
結構楽し気に一座の仲で生きていた様をみているので、
それを思い出すと、しょんぼりしてしまうのです

・???asリトルグウィンプレン
声がか細くて音程ふらふらしていて聞いていて辛かったです

衛藤美彩asデア
何も語りたくないです
上記リトルグウィンプレンと同じく声が細くて音程ふらふらしていて
聴いていて辛かったです
ヒロインが歌一番下手くそって本当きっついです
彼女以外の全キャストが及第点とっていて全体的に上手いのもあって
本当きつかったです
本当やめて実力のない人に重要な名あり役ふるの本当やめて!?
制作陣もそのこと解っているからデアの楽曲を削ったりしているのではないでしょうか
ヒロインなのにソロが凄く短かくとにかく歌い始めたらすぐ誰かがフォローするかのように合唱に入るということが多かった気がして気になりました
あと、デアが盲目という設定なのでデアの傍には始終介護してくれる女性2人組が付いているのですが彼女たちが歌、ダンス、芝居ともに滅茶苦茶上手い為に「デア専属フォロー役」みたいに見えました

朝夏まなとasジョシアナ公爵
 すっごい良かったです 歌も芝居も「ジョシアナ公爵」ってキャラ自体も
なかなか良かったです
 観劇前はジョシアナ公爵は多分グウィンブレン誘惑するだけの男好き金持ち女みたいな役どころかと思っていたのですが、違っていて、それが、とてもよかったです
 意外とちゃんとグウィンブレンという人物を見ていて、それに対してグウィンブレンもまんざらでもなく思っている描写があって、ちゃんと、奥行きのある人物像で、とてもよかったです

宮原浩暢asデヴィット・ディリー・ムーア卿
無難に良かったです
ただ、ムーア卿についての掘り下げはもうちょっと深くても良かったのではないかと
思いました
必要最低限には描写されているのでまあ良いのですがちょっと感情移入し辛い所が
ありました
結局何がしたかったの? 
彼の思う「いつかそうなりたいデヴィットディリームーア卿像」とはいかに?
その目的を成し遂げたいと思う情動は彼の人生のどこからきたの?
彼の野望がどこから沸き起こったのか想像におまかせなところがあってちょっと残念
悪役の描写は主人公と同等位に深めにした方が良いと思うのです

・フェドロas石川 禅
いまいち舞台にのめりこめていなかった自分なのですが、
石川さん出てきた途端なんだか舞台の雰囲気というか風がガラッと変わって、
一気に惹き込まれました
ダイソンの掃除機のようでした
そして、「いしゅめい! いしゅめいじゃん元気に生きているじゃん!!」と、
こころの中でどうしても思ってしまいました
タイタニックが忘れられないタイタニックがみたいという気持ちに
どうしてもなってしまいます

山口祐一郎asウルシュス
ああああこういう役だったかー……みたいな感想でした
ウルシュスは優しい人柄なのですよ
死にかけていた浮浪児2人(デア&グウィンプレン)を出来る限りのやさしさと慈しみをもって父親として育てるそんな役柄なのです

ちゃうねん私の見たかった山口さんは悪役の山口さんやねん、と思ってしまいまして
「怒り」「慟哭」「憎しみ」「嘲り」「挑発」を表現し役を演じる山口さんが
みたくて行った舞台だったので、演じる役柄的にちょっと期待していたものと
違いました
でも、なので、
グウィンブレンが死んだと思った時に憎々しげに歌い上げるシーン、
あそこは好みでした


◇総評◇
セントラルクエスチョン
→ウルシュスは拾った浮浪児グウィンプレン&デアを育て上げ幸せにすることが
 出来るでしょうか
→グウィンプレンは自分がどうすれば幸せになれるのか解り、
 また、幸せになれるでしょうか

こんなところかなって思いました
ウルシュスとグウィンプレンがW主人公って感じの話でした
ストーリーも曲もキャスト(ヒロイン除く)もなかなか良かったと思います

★自分のための覚書(色々なミュージカルに出てくる父親ズ)★
テヴィエ:己と一緒に来る長女以外の次女三女とは死に別れのような形に
     なってしまったけども酷い逆境にありながらもバランスをとり
     力強く生きていくラスト
オポルト:息子ヴォルフガングを愛しながらも彼のせいで自分の社会的地位が
      失脚してしまう
      借金の尻拭いや彼自身のやらかしの尻拭いばかりして、
      堪忍袋の尾が切れて絶縁を告げた後、死亡 
      ありのままの自分を愛して欲しいと願っていたヴォルフガングは
      彼の訃報を聞いた後、精神的に死に、その後肉体的にも死ぬ
ジャンバルジャン:小さな罪に対して重すぎる刑罰を受ける→仮釈放→盗みを働く
         →反省→堅実に生きる→血のつながらない娘を育てあげる→
         ジャベール&マリウス救う→コゼット&マリウスに看取られて死亡 
         ある意味ハッピーエンド
ベンジャミンパーカー:無辜の罪により流罪→かえってきて復讐→
           うっかり娘&妻を手にかける→死亡
           アイロニーにまみれている

並べると結構国民色が出ている感じで面白いなと思います

ソビエト―無骨ながらも力強く生き抜くさま 伝統大事  
オーストリア―ロマンチック 音楽命
フランス―愛 
イギリス―皮肉 な感じ
並べるとソビエトというか、アナテフカ、いいね!ってなりますね
何だか希望がある感じです


正直、観たい公演がある
→キャスト調べる
→宝塚っぽい人がいる→何期生か調べる→ちゃんと歌える人か調べる
→ダメそうなら観劇やめる
と、いう面倒臭いことこの上ない作業にプラスして
→元秋元系列っぽい人がいる→観劇やめる
って作業しなくちゃいけなくなるの、しんどいです
本当、しんどいです
普通に歌って踊れて芝居出来る人だけを板の上にあげて下さい
名前の後ろに(元乃木坂)とかつけないのって
選挙で無所属で出馬しておきながら実は元民主党員でしたって罠ぐらい
酷い罠だと思います
(元宝塚の人と違って元秋元傘下娘さんは名前が普通だからぱっと見解らないですし
本当詐欺っぽい)

正直Wキャストでどっちもハズレって本当酷いと思うのです
夢咲ねねさんはグレートギャッツビーでデイジーやっているのを観劇して
「うわ酷いもう二度とこの人の出る舞台はみたくない」と思っていた方なので
(台詞いう時の声と歌うときの声が違い過ぎるのが嫌でした。
 ミュージカル用の発声が出来ていないの。地声で歌うって芸当が出来ていない)
なので、よく知らない人だけど衛藤美彩さんって人の方観ようと思って
チケットとって観たのですが本当酷い。本当酷い。本当酷い。本当ひっどい!!
これは非常に悪質な詐欺といって差し支えないのではないでしょうか?
おまわりさんこっちです!
だって、まさか、ミュージカルのヒロインに歌えない人がキャスティングされている
だなんて普通思わないじゃないですか!!

大体客寄せパンダとしてもこういう起用は失敗ですよ
事実客席がらがらでしたよね? どうしてだと思いますか?
PVの時点で彼女が歌えない人だということが露呈していたからではないですか?
ちゃんと歌える人ヒロインに抜擢していたら客席はちゃんとそれなりに埋まっていたと思います
「笑う男」が観たいと思ってきた客は、完成度の高い「笑う男」がみたかったのです
衛藤美彩ちゃんの発表会」がみたかったわけじゃないのです
私たちは衛藤美彩さんの親兄妹でも親戚でも友達でもファンでもなんでもないのです
ただ、良質な舞台が観たいと思っていたごく普通の客なのです

こんな風にさらっとまるで普通にプロのミュージカル俳優に混じって歌えない人が
キャスティングされていくことが横行していくと、
「今度の舞台ももしかしたら駄目な人が紛れているかも」と思って
ミュージカルを観に行く人が減っていく由々しき事態に陥っていくと思います

客入りが良くなるなら、或いは話題性が高まるならば、
コンテンツの質を下げてもいいと思っている人がミュージカルのキャスティングを
行っている人の中に多数いるというその事実がただただ悲しいです

某劇団○季さんがどの公演が当たりかハズレか解らないように工作した結果
(公演にあたりハズレがある事態に陥ったこと自体まあ致命的ではあるのですが)
深刻な客離れを起こして現在危機に陥っていることは皆さん知っているでしょうに
どうして同じ轍踏んじゃうのでしょうか
考える頭を持たぬ想像力のないバカなのでしょうか